遺言書には種類がある?
ひとことに遺言書といってもいくつか種類があることはご存知でしょうか。
厳密に言うと5種類あるのですが、今回は一般的に使われる『自筆証書遺言』『公正証書遺言』『秘密証書遺言』の3種類について解説いたします。
遺言書の種類に注意して、正しい遺言書を書くようにしましょう。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、読んで字の如く、自ら遺言書を書き残しておくというもの。遺言書ではもっともポピュラーな方法と言えるでしょう。
手軽に作成できますが、注意する点も多いという特徴があります。
注意しなければいけないこと
- 遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、押印しなければいけない。
- 氏名については、氏または名のどちらかのみの記載でもOK。通称やペンネームでも有効。
- 押印は実印でも認印でもOK。また指印でも認められます。
- 日付は客観的に確定できる程度に特定されている必要があります。例えば「平成25年の自分の誕生日」という記載はよいと考えられますが、「平成25年7月吉日」という記載は認められないと解されます。
- 財産目録は自署でなくてもOK(ワープロとかコピーでもOK)。その際には、毎葉に署名・押印が必要になります。
- 死後、見つけてもらえないということがある。
- 死後、家庭裁判所で『検認』という手続きをしないといけない。
もっとも、ペンネームや認印、指印でもOKとなっていますが、要らぬ紛争で遺言が無効となってしまうのを防ぐためにも、戸籍上の氏名を正確に記載し、実印を押印するのが望ましいといえるでしょう。
※ 2020.7.10から自筆証書遺言保管制度が始まりました。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証役場にて公証人に遺言の内容を確認してもらい、証人立会のもと遺言書を『公正証書』にするという遺言書の作成方法になります。
公証人に公正証書作成費用を払う必要があるので、手軽に作れるというわけではありませんがメリットも多いというのが特徴です。
公正証書遺言のメリット
- 自署である必要がない(ワープロ打ちでいい)。
- 公証人が事前に遺言書を確認してくれるので、遺言書が様式不備で無効ということがない。
- 公証人のもとに原本が保管されるので、見つけてもらえないということがない。
- 家庭裁判所の『検認』手続きが不要。
等が挙げられます。
自分で書いたはいいけど様式不備で無効だった、死後見つけてもらえなかったというリスクを回避するだけでもかなりのメリットがあるのではないでしょうか。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、封筒に遺言書を封印して作成される遺言ですが、次の方式に従わなければいけません。
- 遺言者が遺言書に署名し押印すること
- 遺言者が、その証書を封じ、証書と同じ印証で封印すること
- 遺言者が公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述すること
- 公証人が、その証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともに署名押印すること
このように、意外とやらなければいけないことが多いのであまり使われていないというのが現状です。
この遺言を作成するメリットとしては、
- 遺言書の存在は明らかにしつつ、内容は秘密にすることができる。
- 自筆証書遺言と違って、自署である必要はない。
などが挙げられます。
しかし、自筆証書遺言と同じく遺言の内容を公証人が確認するわけではないので、様式に不備が出てしまう可能性があります。
まとめ
代表的な3つの遺言書について書かせていただきました。
すべての手続きで一長一短ありますので、遺言書を作成したいけど、どれにすればいいかわからないなど疑問がある方は当所までご相談ください。
また、法務局が自筆証書遺言を保管してくれるサービスも開始されましたので、法務局の自筆証書保管制度については別の記事をご参照ください。
関連記事
- 遺言書
- 遺言書
- 遺言書
- 遺言書
- 遺言書
- 遺言書