公正証書遺言と自筆証書遺言はどっちがいいの?
遺言書の種類としては細かく分けると5種類ほどあるのですが、主に利用されるのは公正証書遺言と自筆証書遺言です。
公正証書遺言も自筆証書遺言もそれぞれメリット・デメリットがありますので、遺言書の作成を検討する際には迷われる方も多いかと思います。
結論としましては、弊所は公正証書遺言をお勧めしておりますが、状況によっては自筆証書遺言の方がいいケースもありますので、そのあたりを下記解説しております。
なお、公正証書遺言と自筆証書遺言の概要についてはコチラをご覧ください。
手数料(費用)の比較
自筆証書遺言は、基本的には自分で書いて自分で保管しておくものなので費用はかかりません。(※)
一方で、公正証書遺言は、司法書士に文案の作成依頼をした場合の手数料や、公証役場の手数料が発生するため、自筆証書遺言に比べると費用面ではかかることになります。
※ 司法書士等に文案の作成依頼をした場合や、遺言保管制度を利用した場合には費用が発生します。弊所手数料についてはコチラをご覧ください。
秘匿性の比較
自筆証書遺言は、内容を誰にも知られることなく自分一人で作成可能です。
しかし、公正証書遺言は、司法書士や公証人に内容を知られますし、作成時に証人2人の立ち合いが必要なため、当該証人にも内容が知られることになります。
内容を知られたからといって、特に法的に危険とかそういうことではないですが、心情的に嫌だと思われる方も中にはいらっしゃいます。
法的効力の比較
公正証書遺言と自筆証書遺言に法的な効力の違いはありません。
どちらも同じ効力です。
「どちらの効力が上ですか?」というような質問も多くされますが、2つの遺言書の法的効力に優劣はありません。
なお、時期をずらして2つの遺言書を作成したような場合、後の日付の遺言書が有効になることや、前に書いた遺言書と抵触する内容がある場合には、後に書いた遺言書が有効になるなどの一定の決まりはありますが、これは遺言書の種類によって異なるものではありません。
遺言書を書いたタイミングが先か後か、抵触する内容がないか等によって判断するものです。
紛失・改ざんについての比較
自筆証書遺言は「本当に本人が書いたものなのか?」「本人の意思によるものなのか?」ということについて争いになる可能性があります。
もしかしたら、本人が書いた遺言書に、後から一文手を加えたりすることも可能性としてはゼロではありません。
一方で、公正証書遺言の場合には、公証人の面前で作成する遺言書なので、そのような心配は限りなく少なくなります。
また、公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるので紛失の恐れはありません。
自筆証書遺言だと間違えて破棄をしてしまったり、どこに保管したかわからなくなる等の問題も出てくるかと思います。
作成時間についての比較
自筆証書遺言はその場で書いてその場で完了するものなので、変な話数分で完成させることも可能です。
一方で、公正証書遺言は、公証役場との文案の調整や、証人を含めた調印日の日程調整などで一定の期間(基本的には1か月前後)がかかります。
体調やその時の状況によっては、公正証書遺言では間に合わないので自筆証書遺言を作成するというケースも中にはあります。
相続発生後についての比較
相続が発生(人が死亡)すると、遺言書の効力が発動します。
公正証書遺言の場合には、そのまま公正証書遺言を相続手続きに利用することができます。
一方で、自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所に検認手続きの申立てをした上で、相続手続きを進める必要があります。
法務局の遺言書保管制度を利用すれば、自筆証書遺言でも検認手続きを省略することは可能ですが、遺言書保管制度を利用する手間と費用がかかること、そして、実際に法務局に保管された遺言書を利用するために相続人等が交付申請をしないといけないことなどから、公正証書遺言の方が一枚上手と言わざるを得ないかと思います。
検索についての比較
相続が発生した場合、相続人である家族は「生前に本人が遺言書を作成したかどうかわからない。知らない。」という状況も珍しくありません。
その場合、平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば公証役場に検索をかけることが可能です。
一方で、自筆証書遺言の場合には、本人が一人で作成することも多いので、どこに保管してあるのか相続人がわからないことも珍しくありませんし、公正証書遺言のように検索をかけることもできません。
せっかく遺言書を書いたのに、相続人が見つけることができなかったために、相続手続きで利用されないという可能性もあります。
但し、自筆証書遺言の場合でも、法務局の保管制度を利用していれば、当該遺言書については法務局に調査をすることが可能になります。
まとめ
上記記載したように、弊所としては自筆証書遺言よりも公正証書遺言をお勧めしております。
しかし、それぞれメリット・デメリットがあり、必ずしも公正証書遺言を作成するというわけではなく、状況に応じて自筆証書遺言で対応することもあります。
公正証書遺言と自筆証書遺言の比較表をコチラに作成してありますので参考にしてください。
弊所では、遺言書の作成をした方がいいのかどうか、作成するならどの遺言書がいいのか、内容はどうすればいいのかなど、遺言書に関する総合的なサポートが可能です。
遺言書でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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