注ぎ込み信託とは?
■自分(委託者)の手元にいくらか安心のために現金を残しておきたい
■保有している全ての財産を信託するのは気が引ける
民事信託(家族信託)では、どの財産を信託財産として設定するか自由に決めることができます。
上記のような理由によって信託しなかった財産や、将来取得するような財産に関しては、追加信託という方法によって信託をすることができます。
しかし一方で、一部の財産だけ信託して、あとの財産は生きている間は自分で保有し、死亡したら信託財産に加えたいという希望も中にはあります。
その場合には、遺言書を利用して追加信託をすることも可能です。
この形の追加信託は、信託設定時に信託財産にしなかった他の財産を、委託者死亡時に遺言書を利用して既存の信託財産に加える(注ぎ込む)、という意味で注ぎ込み信託と呼ばれたりします。
注ぎ込み信託をする場合には、遺言書によって受託者を受遺者として指定し、遺贈した財産は受託者の固有財産となるわけではなく、信託財産に属する財産になることを明示しておくことがいいかと思います。
【遺言書の条項イメージ】
第〇条
遺言者は、遺言者の保有する現金および預貯金から、令和〇年〇月〇日東京法務局所属公証人○○作成の「不動産および金銭管理信託契約書」(以下、「本信託」という。)における受託者○○に対し、本信託の信託財産に属する財産として金銭を遺贈する。第〇条
遺言者は、前条の受託者○○の任務が終了している場合には、前条により受託者○○に遺贈するとした財産を、本信託の後継受託者に対し、本信託の信託財産に属する財産として遺贈する。
信託契約書に「委託者が遺言書によって追加信託をする旨の条項」は必要か?
なお、注ぎ込み信託をすることを見越して、信託契約書の追加信託の条項に委託者が遺言書によって追加信託をする旨を記載をしておいてもいいと思いますが、信託法16条によって「・・・その他の事由により受託者が得た財産は信託財産に属する財産となる」と定められているので、注ぎ込み信託用の特別の条項は特段必要ないかと思われます。
注ぎ込み信託をする場合には、家族信託だけではなく遺言書の知識や経験も必要になってきます。
弊所では、家族信託や遺言を専門業務として取り扱っておりますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
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