相続人申告登記をしても相続放棄は可能ですか?
相続人申告登記について詳しくはコチラをご覧ください。
相続放棄は、次のような処分をした場合、それ以降相続放棄はできないとされています。
■遺産を処分(売却)した
■預貯金を引き出して私的流用した
これらの行為は処分行為と言われ、処分行為をするということは相続人であることを認めているよねとみなされため相続放棄ができなくなるのです。
これを単純承認と言います。
一方で、保存行為や管理行為については例外とされ、遺産を保護するために管理していたような場合は処分行為ではないので、相続を認めたこと(単純承認)にはなりません。
さて、2024年4月から始まった相続登記義務化に関連して、相続人申告登記の制度も始まりました。
相続人申告登記は、簡単に言うと自分が相続人であることを法務局に申告するものです。
当該申告をすることで相続登記の義務から解放されます。
(個人的にですが、相続人申告登記はある種中途半端なものであり、余計に相続に関連した登記簿を複雑にする可能性があること、そして、相続人としては本格的に相続手続きを進める動機がなくなってしまうことから肯定的な立場ではありません。)
相続登記義務化から解放されるために相続人申告登記をした後で、相続放棄をしたいと思うこともあると思います。
ここで問題となるのは、相続人申告登記が処分行為なのかどうかということです。
もし処分行為に該当するのであれば、単純承認とみなされて相続放棄はできなくなってしまいます。
結論としましては、相続人申告登記は処分行為ではないとされているので、相続人申告登記をしたとしても相続放棄は可能とされています。
相続人申告登記はあくまでも「自分は相続人です。」と申告するだけであって、相続する意思表示ではないということですね。

