相続人に未成年者がいる場合の相続手続きは?
人が亡くなることを「相続が発生する」などと言いますが、相続が発生した場合には、死亡した者が有していた財産(遺産)を相続人が相続することになります。
※ 遺言書があればまた話は変わってきますが、ここでは遺言書がない場合を記載します。
相続人が財産を相続した場合には、通常、誰がどの財産を相続するのか、相続人全員で話し合いを行います。これを遺産分割協議と言います。
この話し合いがまとまったら、それを遺産分割協議書という書面にして相続人全員がそれに署名押印をして相続手続きを進めることになります。
さて、この遺産分割協議(話し合い)は法律行為です。
相続人の中に未成年者がいる場合、その法定代理人(親権者)が当該未成年者を代理して遺産分割協議を行うことになります。
しかし、法定代理人も相続人の1人である場合には利益相反の問題が生じます。
例えば、父が死亡して母と子(未成年)が相続人の場合、母の取り分が増えれば子の取り分が減り、母の取り分が減れば子の取り分は増える状況が生じます。
つまり、母と子の利害が対立している状況(利益相反)であり、このような場合には子供のために特別代理人を選任する必要があると民法上定められています。
※遺産分割協議における母と子(未成年)の関係は利益相反であることは最高裁(最判昭48.4.24、最判昭49.7.22)において明示されています。
相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議
上述したように、相続人に未成年者がいる場合には、当該未成年者に特別代理人を選任して、当該特別代理人が未成年者の代わりに遺産分割協議をし、遺産分割協議書に署名押印することになります。
特別代理人の選任は家庭裁判所への申立てを行うことで選任してもらいます。
特別代理人を選任申し立ての際には、相続人の戸籍謄本や遺産分割協議書の文案などを提出する必要があるので、申立てをする時点で遺産の分け方を暫定的に決めておく必要があります。
そして裁判所から「その遺産の分け方ならOKです。では特別代理人を選任するので、提出してもらった遺産分割協議書の内容に沿って進めてください。」とお墨付きをもらった上で、相続手続きを進めていくことになります。
なお、弊所では、特別代理人の選任申立てから遺産分割協議書の作成、そのあとの相続手続き(相続登記や預貯金等の解約手続きなど)まで全てワンストップで対応可能です。
相続人の中に未成年者がいて困っているような場合や特別代理人の申立てについてわからないなど、お困りごとがありましたらぜひお気軽にご相談ください。